2025年4月17日:韓国KCマークのEMC試験とKCマーク自己適合確認の申請代行をスムーズに実施します。
2024年10月29日:取扱説明書の制作・翻訳・ライティングを開始しました。
2023年8月21日:機械指令MDは2027年1月に機械規則EU 2023/1230に切り替わります。
2023年4月10日:試験エンジニアを募集開始しました。
2023年3月10日:東京事務所を移転しました。
2022年10月8日: EMCのページを改定、カナダのEMCを追加しました。
2022年9月27日: EMC指令2014/30/EUの整合規格がアップデートされました。
EMC指令2014/30/EUの整合規格
2022年9月10日: EMCのページを改定、オーストラリアのEMCを追加しました。
2022年9月3日: RoHS指令のページを改定しました。
2022年8月22日: EMCのページを改定しました。アメリカのEMCを追加しました。
2022年7月21日: 韓国KCマークの "放送通信機器等の適合性評価に関する告示"が改定されました。申請書類の一部に”試験報告書の発行番号”の記載欄などが追加されました。
放送通信機器等の適合性評価に関する告示
2022年6月13日: 韓国KCマークと人体暴露EMFなどホームページを改定しました。
フェイス Faith Inc.は2003年の設立以来、機械類の安全と電磁波EMCに関する設計コンサルおよび試験業務を主体に多くの企業、工業会、行政機関、大学等と共にその支援、および推進の活動をさせて頂いております。 昨今では機械安全に加えて統合生産、有害物質、高効率、圧力、防爆、食品衛生、知的財産等の側面を考慮する機械も多く、また地域別では欧州CEマーキングの他に、英UKCA、韓国KC KCS、中国GB、アメリカOSHA NFPA、オーストラリア、日本等、一つの機械に多くの側面や地域別の規制が横断的に絡む場合の対応も実施させて頂いております。安全設計のコンサル、実機での検証作業、リスクアセスメントの実施支援、安全試験、iNARTE EMCエンジニアによるEMCオンサイト試験、技術ファイルの編集支援、取扱説明書(マニュアル)の制作・翻訳・ライティング等、機械安全とEMCに関わる様々な業務を相変わらず現在に至るまでも、そしてこれからも実施させて頂きます。 フェイスはお客さまの機械安全とEMCのベストサポーターとして、安く!、早く!、適切に!をモットーに総合的により良い対応をさせて頂きます。
CEマーキングとはEEA欧州経済地域、およびトルコ等の加盟候補国の欧州市場で製品が流通するときに要される安全水準を示すマーク制度です。 CEマーキングは欧州連合における統一法規の一つであり、製品にCEマークを表示するには関連する欧州法令(指令や規則)に従って、適合性評価を行い、評価内容をまとめた技術ファイルを準備し、適合宣言書を作成した上で製品にCEマークを表示し、欧州市場への出荷が可能になります。 適合宣言書は製品が法令に適合していることをメーカー自らが市場に向けて宣言する書面であり欧州域での通関検査を含めて製品流通時に必要とされる書類になります。 製品の適合性評価はメーカー自身で行うことが出来ますが、特定の製品に限り、欧州連合で登録されたNB検査機関にその評価を依頼しないといけない場合もあります。 いずれの場合も法令への適合を宣言するのは製造物責任を負うメーカーであることから非公式ながら自己宣言とも呼ばれたりしています。 CEマーキングは、どこかの機関から取得するものではなく、CEマークの表示を含め、メーカーによる管理責任となります。
このページでは、便宜的に「取得」という表現も使用しています。
CEマーキングに関連する法令として、指令と規則があります。 1995年に機械指令が施行されて以来、現在では多くの製品分野毎に指令や規則が制定されています。 機械類には機械指令(機械安全)、およびEMC指令(電磁波)が該当し、電気製品には低電圧指令(製品安全)、EMC指令(電磁波)、RoHS指令(有害物質)が主に該当します。
また、指令、および規則にはCEマーキングに関連しない法令も多くあります。 欧州域で流通する製品は基本的に安全が確保された製品であり、製品に該当する指令が無い場合には製品安全指令GPSDが幅広く適用されます。 食材接触のFCM規則、食材に接するプラスチック材のPIM規則、RoHS指令と反対側面にあるWEEE指令、他にはREACH規則、バッテリー指令、廃棄物指令等があります。 CEマーキングに関連する法令以外にそれらの指令や規則も考慮されないといけない製品も多くあります。
指令名称 | 製品例 | 現行指令番号 | 初版施行年 |
---|---|---|---|
ガス機器規則(GAR) | ガス暖房器 | 2016/426 | 1996 |
人員用ケーブル輸送設備指令 | ケーブルカー | 2000/9/EC | 2006 |
エコデザイン指令(ErP) ・モーター - Reg.No.2019/1781 ・冷凍機器 - Reg.No.2019/2019 ・ファン - Reg.No.327/2011 ・水ポンプ - Reg.No.547/2012 | モーター、冷蔵庫、ポンプ | 2009/125/EC | 2007 |
EMC指令 | 電気製品全般 | 2014/30/EU | 1996 |
防爆指令(ATEX) | 耐起爆性部品、部位 | 2014/34/EU | 2003 |
起爆装置指令 | 爆薬、燃料 | 2014/28/EU | 2003 |
温水ボイラー指令 | ボイラー | 92/42/EEC | 1998 |
体外診断用医療機器規則(IVDR) | 試薬用紙、体液保管容器 | 2017/746 | 2003 |
リフト指令 | エレベータ | 2014/33/EU | 1999 |
低電圧指令(LVD) | 電気機器 | 2014/35/EU | 1997 |
機械指令(MD) | 産業機械 | 2006/42/EC | 1995 |
計量器指令(MID) | ガス・電気・水メーター | 2014/32/EU | 2006 |
医療機器規則(MDR) | 医療機器 | 2017/745 | 1998 |
騒音指令 | 建機、芝刈り機 | 2000/14/EC | 2002 |
非自動計量器指令(NAWI) | はかり | 2014/31/EU | 2003 |
個人用保護具規則(PPER) | 防護服、ヘルメット | 2016/425 | 1995 |
圧力機器指令(PED) | 消化器、ボイラー、弁 | 2014/68/EU | 2002 |
火工品指令 | 花火、着火装置 | 2013/29/EC | 2010 |
無線機器指令(RED) | 無線機器 | 2014/53/EU | 2000 |
レジャー用船舶指令 | 小型船舶 | 2013/53/EU | 1998 |
有害物質指令(RoHS) | 製品全般 | 2011/65/EU | 2006 |
玩具指令 | おもちゃ、自転車 | 2009/48/EC | 1997 |
簡易圧力容器指令(SPVD) | 圧力タンク | 2014/29/EU | 1992 |
建築資材規則(CPR) | 建築資材 | 305/2100 | 1997 |
CEマークの取得までの手順は、1)指令の選択、2)整合規格の選択、3)技術資料チェック、4)実機チェック、5)安全試験・EMC試験、6)評価・試験レポートの作成、7)技術ファイルの編集、8)CEマークの表示、9)適合宣言書の作成・署名、10)出荷 になります。
CEマークを取得するには製品に適用される指令の選択作業が第一ステップになります。 機械製品の場合、複数の指令の適用を受けることが多く、一般的には機械指令とEMC指令が該当します。 機械の構成によっては圧力機器指令、防爆指令、騒音指令、ガス機器指令、RoHS指令等が該当します。
製品 | 適用指令 |
---|---|
電気部品 | 低電圧指令・RoHS指令 |
パソコン、家電製品 | 低電圧指令・EMC指令・RoHS指令 |
一般産業機械 | 機械指令・EMC指令・(RoHS指令) |
IPA洗浄設備 | 機械指令・EMC指令・防爆指令・(RoHS指令) |
無線機能付きの機械 | 機械指令・EMC指令・無線機器指令・(RoHS指令) |
蓄圧タンク実装設備 | 機械指令・EMC指令・圧力機器指令・(RoHS指令) |
建設用重機 | 機械指令・EMC指令・騒音指令 |
CEマーキングの各指令には欧州規格(技術基準)が関連付けされており、機械指令の場合は700個を超える規格が制定されています。 多くの規格群の中から機械に該当する規格の選択を行います。 指令の内容はその制度の運用条件や安全規制のアウトラインまでの記載であり、設計に関する具体的な技術基準は規格になります。 機械設計者は指令の内容よりも規格の要求事項を理解して機械設計に落とし込んでいくことが重要になります。 規格の選択を間違えたり、見落としがあると後々大変になるため規格の選択は重要な考察事項になります。
指令と規格の枠組み |
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指令: 法令(大枠要求事項) 規格: 指令への適合性を推定するための技術基準(具体的検証ツール) |
機械に該当するいくつかの規格が選択された段階では、規格の要求事項を理解して設計へ展開していくことになります。 要求事項の理解や、機械設計への展開については大変悩ましいことも多々ありますが、ここを間違えると実機が出来上がった後に改造が必要になったりと、後々に手間と時間のコストがかかってしまうためとても重要なステップになります。
機械指令の場合、全体の9割は構造面の要件で残りは安全試験のイメージになります。 EMC指令は試験による合否判定のみですが、試験がスムーズに進行できるように事前に適切な構造を達成しておくことが重要になります。 弊社ではこのステージでのコンサル業務を重要視し、要件の理解と実務設計での展開をメーカーさんと一緒に作業させて頂いております。
実機が製作された段階で、機械の動作確認、および作業者と機械の関わりにおける危険リスクを探りながら、構造面における適合性をチェックする作業になります。
実機レベルでの安全試験、およびEMCオンサイト試験もこの段階での作業になります。 各試験のための全ての試験機材は弊社で調達し、試験作業も機械の製作現場で実施させて頂いております。
実機での構造チェックと試験の後、各評価レポート類の作成を行います。
各評価で使用された技術資料、およびその後に収集された資料と合わせて技術ファイルを編集していく作業になります。 技術ファイルは機械の仕様書、構成部材の仕様書、各回路図、部品リスト、強度計算書、評価レポート、試験レポート、取扱説明書、適合宣言書等で構成され、それらをパイプファイルにまとめたものになります。 決して最新版の新品資料ばかりではなく、実機での設計検証時に使用したコメント資料等も含めての編集になります。 多くの資料が収集されるとそれだけでファイルが2冊、3冊になるため、不要な資料はなるたけそぎ落としスマートで質の高い構成でファイル1冊にまとめることがポイントです。 編集を完了した技術ファイルはユーザーに提供するものではなく、また欧州域での保管でもありません。 技術ファイルは、機械出荷後の10年間、メーカーでの保管が義務付けられています。
機械の出荷に合わせて、CEマークの表示を機械の表面に貼付けることになります。 一般的にはCEマークの表示と指令と規格で要される表示項目と合わせて表示銘板を作り機械の表面に貼付けます。 表示をすることで、機械が指令、および規格に適合していることが確認でき、欧州市場での自由な流通が可能になります。
機械の出荷に合わせて、適合宣言書の作成が要されます。 宣言書は機械が指令と規格に適合していることを欧州市場に向けて宣言する書類であり、製造物責任を明確にするためにメーカーの所在と責任者の署名が要されます。 署名する人は会社の代表者と言うより設計製造の責任者のかたが適任とされており、また、宣言書には必要記載事項が定められていますが、書き方や様式等の細かい指定はなくメーカーアレンジによる作成になります。 宣言書は英字で作成される場合が多くありますが、機械が使用される欧州地域の言葉で作成する必要があり、英語版と合わせて現地語版も必要になります。 署名された宣言書の原紙は技術ファイルに綴じてメーカーにて10年間保管となり、出荷される機械にはそのコピーを貼付けることが要されます。 また、ユーザーや市場流通時に宣言書の提出要請を受ける事があり、その場合には宣言書のコピーを提供することになります。
技術ファイル、適合宣言書、CEマークの表示が整った時点で機械の出荷が可能になります。 出荷される機械には適合宣言書のコピーを添付しなければいけません。 また、取扱説明書は機械に付属するか別ルートでユーザーに提供をします。 取扱説明書も基本的には英字での作成になりますが、機械が使用される欧州地域の言葉で作成することが要されているため非英語圏の場合は現地語翻訳版が必要になります。
CEマーキングの制度において、機械の適合性評価、およびCEマークの表示は一部の危険度合の高い機械を除いては、メーカーによる自主管理とされています。 アメリカUL、カナダCSA、ドイツGS等の多くのマーク制度では第三者検査機関による評価、認証をもとにマークの利用権を得ることができますが、CEマーキングでは装置の設計検証、製造品質保証、およびCEマークの表示もメーカーによる自主管理になります。 よって、その制度への対応の度合い、機械の安全の達成度合いにはどうしても各メーカーにより温度差があります。 温度差がある一定の水準で上下しているのは良いのですが、その差が大きくかけ離れている機械については違反行為としてあげられ、このことが欧州市場でのCEマーキングの乱用等、混乱を招く一つの原因とされています。 CEマーキングはどこか誰かから取得するものではなく、その制度と技術的要件に沿ってメーカー自らの製造物責任において対応する作業になります。
CEマーキングの制度が発令されて以降、10年、20年と経過し、CEマーキングの間違った解釈やCEマーク表示の乱用等、欧州市場での諸問題が多くなりつつある状況で、管理当局による市場監視の強化も平行して強化されてきております。 市場監視は不正競争の防止に有効とされており、かつメーカーの利益にとっても重要となる点で管理当局には不備な製品に対する制裁措置をとる権限が与えられています。 CEマークの不正表示、製品構造上での不適合、書類の不備、事故報告等、指令に適さない事実が発覚した場合には違反行為として処罰が与えられます。 欧州域での通関時のチェック体制も強化され、今までと同じ流通経路でさえコメントや資料の提出要望が増えてきているのが実情です。 また、指令への適合を満たしていなくてもCEマークの表示を行うことは可能であり、そのような違反行為にあたる製品の流通が多いのも実情です。 市場での違反行為や構造上のクレーム等が発覚した製品は製品写真、社名、型番、リスク度合、製造業者への措置指導内容が掲載されたRAPEX警告システムにより一般に公開されています。 一旦掲載されてしまうと企業イメージのダウンにつながりその影響をはかり知ることはできません。 RAPEX警告システムでの報告は毎週情報更新され多くの不適切事項がアップされています。
違反行為に対する取締り | |
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取締り当局 | 安全衛生の管轄当局、労働保険組合、保安局による市場監視 |
違反行為 | CEマークの不正使用、構造上の明らかな欠陥、適合宣言書・CEマーク・取扱説明書の不備 |
チェック場所 | 通関、工場据付け、初期稼動、保安査察、陳列棚抜取り、外部通報、事故 |
処罰 | 構造の改善、使用禁止、市場回収、量刑、拘留、起訴 罰金5000英ポンド、12000仏フラン、100000独マルク |
指令や規則は欧州連合における統一法規であり、製品分野毎に制定されていて、それらの内容は欧州委員会のホームページで閲覧も無料ダウンロードも可能です。 また、指令には多くの欧州規格が関連付けされており、規格のリストもそのホームページで見ることができます。
https://ec.europa.eu/growth/single-market/european-standards/harmonised-standards_en指令への適合性を検証するツールとして欧州EN規格があります。 それらEN規格は欧州の規格作成委員会(CEN、CENELEC、ETSI)で審議、制定されています。 また、国際的なISO規格、およびIEC規格は国際規格の作成委員会(ISO、IEC)が制定を行っています。 これら両者の規格作成委員会は規格要求内容をなるたけ同等に整合化した内容とするための相互協定を結んでいます。 また、国際的な貿易の促進を協議する機関として1995年にWTO世界貿易機関が設立され、そこでのTBT貿易協定により各国間の技術的障壁を低減する目的で加盟国は国際規格をもとにした国内規格を制定することが義務化されています。 現在では多くの規格がIEC・ISO国際規格をもとに国内規格化されており、欧州はEN、中国GB、韓国KS、ドイツDIN、英国BS、日本はJISで制定されています。 EN規格と同等な内容のJIS規格も多く制定されており、JIS規格の内容はJISC日本工業標準調査会のホームページにて閲覧が可能です。 また、規格書はJSA日本規格協会にて購入が可能です。
また、CEマーキングや指令の解説が欧州委員会の他にも各国の行政機関、各組合、工業会等のホームページに載せられており、中には無料ダウンロード資料が準備されています。 これらの情報、資料は指令の制度と要求事項を理解する上で役立つ情報源になります。